マンションの4階だから空き巣とは無縁、と考えるのは早計です。地上から直接入りにくい階でも、建物の共用部に入られた後は玄関ドアが狙われますし、住戸の位置や建物構造によっては窓やベランダ側にも注意が必要です。
警察庁の令和6年資料では、4階建以上の共同住宅でも空き巣被害が確認されています。ただし、この統計は建物全体を「4階建以上共同住宅」と区分したもので、「4階の住戸だけ」の危険度を示すものではありません。階数だけで安全性を判断しないことが大切です。
4階の住戸で優先したいのは、玄関と窓の施錠、オートロックへの過信を避けること、共用部から自宅までの動線を意識することです。今の住まいで何から見直せばよいか、順番に確認してみてください。
空き巣はマンション4階でも起こるため階数だけで安心しない
まず押さえたいのは、4階という高さ自体が防犯設備ではないという点です。低層階より外部から近づきにくい面はありますが、建物内部に入られた後の玄関や、構造次第で近づける窓は別に考える必要があります。
4階以上の共同住宅でも空き巣被害は発生している
警察庁の「令和6年の刑法犯に関する統計資料」では、住宅を発生場所とする空き巣のうち、4階建以上共同住宅の認知件数が記載されています。つまり、中高層の共同住宅であっても空き巣被害は実際に起きています。
ただし、この数字を「4階の部屋が何件被害に遭った」と読み替えてはいけません。統計上の区分は建物の階数であり、被害住戸が1階だったのか4階だったのか、それ以上だったのかまでは、この区分だけでは分かりません。4階だから危険、4階だから安全と単純化せず、住戸の侵入経路ごとに備えるのが現実的です。
地上から離れていても共用部に入られれば玄関は近い
マンションでは、エントランスを通過した人物が廊下やエレベーターまで来れば、4階の玄関前にも到達できます。オートロックがある建物でも、居住者の出入りに続いて入る、来訪者を装うなど、共用部へ入る経路が完全にゼロになるわけではありません。
そのため、自室の玄関は「建物の中だから大丈夫」ではなく、独立した防犯ラインとして考えてください。短時間のゴミ出しや宅配対応の後でも鍵をかける、ドアを閉めた後に施錠を確認する、といった基本動作が役立ちます。共用玄関と自室玄関の二段階で守る感覚が分かりやすいでしょう。
4階で見落としやすいのはベランダ側の条件差
4階の窓やベランダは、一般的には1階より地上から直接近づきにくい場所です。しかし、隣接建物、非常階段、共用廊下、屋根、配管や設備スペースなどの位置関係によっては、外から見た印象ほど隔絶されていない場合があります。
特に角部屋や共用階段に近い住戸、隣の建物との距離が近い住戸では、「4階だから窓は開けたままでよい」と考えないほうが安心です。ベランダ側は高さではなく、実際に人が近づける経路があるかを目で確認してみてください。家具や共用設備が足場のようになっていないかも見落としやすい点です。
| 確認場所 | 4階で見るポイント | 基本対応 |
|---|---|---|
| 玄関 | 共用部から誰でも近づける可能性 | 在宅・短時間外出でも施錠 |
| 窓 | 隣接建物や共用部との距離 | 外出・就寝時は確実に施錠 |
| ベランダ | 足場や隣戸からの移動経路 | 物を置きすぎず周囲を確認 |
| 共用部 | 死角・非常階段・出入口 | 不審点は管理会社へ共有 |
- 4階建以上の共同住宅でも空き巣被害はあります。
- 統計の「4階建以上」は4階住戸だけを意味しません。
- 共用部へ入られた後は玄関の高さは防壁になりません。
- ベランダは周辺構造との位置関係で確認します。
マンション4階の空き巣対策は玄関の施錠を最優先にする
階数だけでは安全を判断できないと分かったところで、次は毎日の対策です。4階では外から窓へ直接近づく難しさだけを見るより、自室玄関を確実に閉める習慣と、来訪者への対応を整えるほうが先に実行しやすいでしょう。
オートロックがあっても自室の鍵は毎回かける
オートロックは、建物の共用入口を通過しにくくする設備です。一方で、自室玄関の施錠を代わりに行ってくれる設備ではありません。居住者や来訪者の出入りがある以上、建物内部に第三者が入る可能性を前提に、自室の鍵は別に管理する必要があります。
例えば、「ゴミ置き場まで数分」「同じ階の知人宅まで少しだけ」という場面でも、鍵を持って施錠して出る習慣にすると迷いません。在宅中も、玄関を閉めただけで終わらせず施錠状態を確認しておくと安心です。家族がいる場合は、最後に帰宅した人、最後に外へ出た人が施錠を確認するなど、ルールを単純にすると続けやすくなります。
来訪者はモニターやインターホン越しに確認する
マンションでは、宅配、点検、管理会社、工事業者などさまざまな人が訪れます。制服や作業着だけで判断せず、まずインターホンやドアスコープで用件を確認してください。予定していない訪問であれば、すぐにドアを開ける必要はありません。
「管理会社からです」「設備点検です」と言われても、心当たりがなければ管理会社や契約先の公式連絡先へ別経路で確認するとよいでしょう。相手が急がせても、玄関を閉めたまま確認できます。防犯は相手を疑い続けることではなく、確認手順を決めておくことで落ち着いて対応することです。
補助錠や防犯性の高い建具は管理規約も確認する
玄関の補助錠、防犯性の高いシリンダー、窓の補助錠などを検討する場合は、賃貸なら貸主や管理会社、分譲マンションなら管理規約を先に確認してください。マンションでは玄関ドアや窓サッシが共用部分として扱われる場合があり、自由に穴あけや交換ができないことがあります。
国土交通省も共同住宅の防犯対策として、防犯性の高い玄関ドアや窓などを安全確保に資する設備として扱っています。実際に交換や追加工事をする際は、製品性能だけでなく「自分の住戸で施工可能か」を確認することが大切です。賃貸では原状回復の条件も合わせて確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
予定外の訪問はドアを閉めたまま確認する
鍵や建具の変更前に管理会社・管理規約を確認する
- オートロックと自室玄関の施錠は別物です。
- 数分の外出でも鍵をかける習慣を優先します。
- 予定外の来訪者にはドア越しで対応します。
- 補助錠や建具交換は管理上の条件を確認します。
窓とベランダは4階でも侵入経路がないか現場で確認する
玄関の基本を整えたら、今度は窓とベランダです。4階では地上からの距離が安心材料になりやすい一方、住戸ごとの建物形状による差が大きいため、一般論より実際の位置関係を確認することが役立ちます。
外出時と就寝時は窓を閉めて施錠する
高い階では「この窓から人は来ない」と感じやすく、換気のために窓を少し開けたまま外出したり、就寝時に無施錠にしたりしがちです。しかし、侵入経路は地上から垂直に上ってくる場合だけではありません。共用部、隣戸、屋上側などから近づける条件があれば、窓が弱点になります。
基本は、外出時と就寝時に窓を閉めて施錠することです。小窓やサービスバルコニー側も忘れず確認してください。毎回すべてを意識するのが難しい場合は、「玄関、リビング窓、寝室窓」の順で指差し確認するなど、出発前の動作を固定すると抜けを減らせます。
ベランダに足場になる物を増やしすぎない
ベランダに収納箱、脚立、大型家具などを置くと、日常の使い勝手はよくても、周囲の構造との組み合わせで移動の補助になることがあります。4階だからすべての物が危険という意味ではありませんが、手すりや隣戸との境界付近に登りやすい物を寄せないほうが無難です。
また、マンションのベランダは避難経路を兼ねることがあります。隔て板や避難ハッチ周辺を物でふさぐと、防犯以前に緊急時の移動を妨げる可能性があります。収納や防犯グッズを置く前に、管理規約や避難設備の表示を確認してください。防犯対策が別の安全上の問題を作らないことも大切です。
隣接建物や非常階段との距離は昼間に確認する
室内から窓を見るだけでは、外側からどの程度近づきやすいか分かりにくい場合があります。昼間に建物の外から、自宅の階の周囲、非常階段、隣接建物の屋根、共用廊下の端などを確認すると、ベランダまでの経路をイメージしやすくなります。
例えば、4階のベランダと隣の建物の屋上が近い、非常階段の踊り場から窓が見える、共用廊下の手すり越しに窓側へ回り込める、といった条件は住戸ごとに異なります。自分で危険度を断定する必要はありません。気になる構造があれば、管理会社へ「この位置から住戸側へ人が近づける可能性はありますか」と具体的に相談すると話が通じやすくなります。

外出・就寝時は小窓を含めて施錠する
ベランダの避難経路は物でふさがない
- 4階でも窓の無施錠は避けます。
- ベランダに登りやすい物を寄せすぎません。
- 避難ハッチや隔て板の周辺を確保します。
- 隣接建物や非常階段との位置関係を確認します。
管理会社と共用部の防犯も4階住戸の安全につながる
住戸内の対策を押さえたら、最後に共用部にも目を向けます。マンションでは住民個人だけでは変更できない場所が多いため、不審な状況を早めに共有し、建物全体の管理と組み合わせることが現実的です。
共用玄関や非常口の閉まり方を日常的に見る
オートロックの共用玄関でも、ドアが物で固定されている、閉まるまでに時間がかかる、非常口が開放されたままになっている、といった状態では本来の機能を発揮しにくくなります。住民が自分で設備を調整するのではなく、異常に気づいたら管理会社や管理員へ知らせてください。
特に引っ越しや工事が多い時期は、搬入のために出入口が開放されることがあります。必要な作業で一時的に開いている場合もあるため、不審者と決めつける必要はありません。予定が掲示されているか、作業後に通常状態へ戻っているかを見るだけでも、共用部の状態を把握しやすくなります。
不審な訪問やうろつきは日時と場所を記録する
見慣れない人がいたというだけでは、配達員、工事関係者、来訪者かもしれません。一方で、同じ人物が何度も各戸のインターホンを押している、長時間住戸の玄関を見ているなど、気になる行動が続く場合は、日時・場所・服装などを安全な範囲で記録して管理会社へ共有すると役立ちます。
直接声をかけたり追いかけたりする必要はありません。侵入しようとしている、ドアをこじ開けているなど緊急性が高い状況なら、安全な場所から110番通報を優先してください。緊急ではない不安や相談なら、最寄りの警察署などへ相談する方法もあります。自分で確かめに行くより、安全確保を先にしてください。
防犯カメラや照明は個人で触らず管理側へ相談する
共用廊下、エントランス、駐輪場などの防犯カメラや照明は、住民個人が勝手に位置を変えたり設置したりできないのが一般的です。死角や暗い場所が気になる場合は、「4階のこの廊下が夜に暗い」「非常階段の入口が見えにくい」のように場所を具体的にして管理会社へ伝えるとよいでしょう。
防犯カメラは設置すればすべて解決する機器ではなく、撮影範囲、管理方法、プライバシーへの配慮も必要です。そのため、個人の住戸対策としてはまず施錠や来訪者確認を行い、共用部については管理組合や管理会社の運用に沿って改善を相談する、という分担が現実的です。
| 気づいた状況 | まず行うこと |
|---|---|
| 共用ドアが閉まらない | 管理会社・管理員へ連絡 |
| 予定外の訪問が続く | 日時を記録し、管理会社等へ共有 |
| 共用部が暗い・死角が気になる | 場所を具体的にして改善相談 |
| 侵入や破壊が進行している | 安全を確保して110番 |
- 共用玄関や非常口の異常は管理側へ伝えます。
- 不審な状況は安全な範囲で日時と場所を記録します。
- 緊急性がある場合は自分で対応せず通報します。
- 共用部の設備改善は管理会社・管理組合と進めます。
まとめ
マンション4階は地上から離れていても、空き巣対策が不要になる階ではありません。共用部へ入られた後の玄関、建物構造によって近づける窓やベランダを別々に考え、毎日の施錠を基本にするのが結論です。
まず今日、自室の玄関・窓・小窓を一度確認し、短時間外出でも鍵をかけるルールを決めてください。そのうえで、非常階段や隣接建物との位置関係、共用ドアの状態で気になる点があれば管理会社へ相談するとよいでしょう。
4階だから大丈夫と決めつける必要も、過度に怖がる必要もありません。高さではなく、実際の侵入経路と日常の行動を一つずつ確認して、無理なく続けられる防犯に整えてみてください。
本記事は防犯に関する一般的な情報提供を目的としており、記載した対策を行っても被害を完全に防止できることを保証するものではありません。実際の対応や緊急時の対応については、警察署や消費生活センターなど最寄りの専門機関にご確認・ご相談ください。


